一期一会
まるで銅像のように不動だった。
托鉢僧は三年坂のごったがえす
人ごみに逆らうように立っておられた。
その佇まいに引かれてカメラを向けると・・・
まるで潮が引いたように托鉢僧が現れる。
通行人が邪魔にならないように撮影線上を避けていた。
恥ずかしいぐらい小額の、お布施をさせていただく。
帰りがけ、撮らせてもらったお礼の意味合いを持って会釈をした。
微かに編み笠が上下に揺れて、托鉢僧も頷かれたのが分かった。
ただそれだけなのに、一瞬心が通った気持ちになった。
托鉢僧が尼僧であったのは何と無く気が付いていたけど、こんなに優しいお顔だったとは・・・通行人を気にしながらの撮影だったので、被写体の表情まで目が届かなかった・・・なんか残念。